第一章 賑やかなある日。

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愚痴が聞こえていたのか、ルレアが返答した。 「だってレイスの尻尾さぁ、いつも私を誘うようにゆらゆらフサフサ揺れてるんだもの。もう我ま──」 ──ガシャァンッ!!! 店の入り口からガラスの割れた音がした。 ルレアが突然の事に肩をビクっとさせる。 見ると、そこにはカウンターで、背の高い人間の男と子分のような人間の男の2人組が店主を脅していた。 床にはグラスの破片が散らばっている。 「おいおい…店主さんよぉ?俺の服に何しちゃってる訳?」 背の高い男が店主の胸ぐらを掴み持ち上げる。 どうやら服にワインを溢されたらしい。 「あ…ひぃッ…!す…すみません…!」 店主は抵抗する術なく持ち上げられていく。 男が子分に何かを催促する。 子分は不敵に笑うと、背の高い男に何かを渡した。 大振りのサバイバルナイフだ。 それを店主の首に突きつける。 店主は悲鳴をあげ、他の客はそれに驚き声もでない。 ──血の気が多い奴だな…。 俺は溜め息をつくと、背の高い男に近付き、肩を掴んだ。 「おい……朝から騒がしいんだよ。黙って出てってくれないか?」 「あ?なんだテメェ…?」 男は店主を放すと、今度はレイスへとナイフを向けた。 「お前から先に死にてぇのか!!!」 いや死にたかねぇし… 男が怒声をあげるが、レイスはただ一言、落ち着き払った声で言った。 「殺れるもんなら殺ってみろよ……?」 男の顔色が怒りでどす黒くなる。 ──レストランに緊迫感が漂った…。 周りの客が固唾を飲んで見守る中、ルレアはレイスの分の朝食も食べていた。 「うはぁ!このソテー美味しいーっ♪」 極限に、空気が読めないルレアであった。
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