2人が本棚に入れています
本棚に追加
愚痴が聞こえていたのか、ルレアが返答した。
「だってレイスの尻尾さぁ、いつも私を誘うようにゆらゆらフサフサ揺れてるんだもの。もう我ま──」
──ガシャァンッ!!!
店の入り口からガラスの割れた音がした。
ルレアが突然の事に肩をビクっとさせる。
見ると、そこにはカウンターで、背の高い人間の男と子分のような人間の男の2人組が店主を脅していた。
床にはグラスの破片が散らばっている。
「おいおい…店主さんよぉ?俺の服に何しちゃってる訳?」
背の高い男が店主の胸ぐらを掴み持ち上げる。
どうやら服にワインを溢されたらしい。
「あ…ひぃッ…!す…すみません…!」
店主は抵抗する術なく持ち上げられていく。
男が子分に何かを催促する。
子分は不敵に笑うと、背の高い男に何かを渡した。
大振りのサバイバルナイフだ。
それを店主の首に突きつける。
店主は悲鳴をあげ、他の客はそれに驚き声もでない。
──血の気が多い奴だな…。
俺は溜め息をつくと、背の高い男に近付き、肩を掴んだ。
「おい……朝から騒がしいんだよ。黙って出てってくれないか?」
「あ?なんだテメェ…?」
男は店主を放すと、今度はレイスへとナイフを向けた。
「お前から先に死にてぇのか!!!」
いや死にたかねぇし…
男が怒声をあげるが、レイスはただ一言、落ち着き払った声で言った。
「殺れるもんなら殺ってみろよ……?」
男の顔色が怒りでどす黒くなる。
──レストランに緊迫感が漂った…。
周りの客が固唾を飲んで見守る中、ルレアはレイスの分の朝食も食べていた。
「うはぁ!このソテー美味しいーっ♪」
極限に、空気が読めないルレアであった。
最初のコメントを投稿しよう!