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男は、先程まで苦悩に顔を歪めていた相手が突然、落ち着いたことに戸惑った。
「おい!ここにいる奴らが全員死んでもいいのか!?」
レイスは慌てるどころか、表情一つ変えない。
そして男へ近づいてゆく。
「………ッ!?」
俺は男の目の前まで来ると静止した。
──何を考えているのか知らんが…ここまで来れば避けることすら出来まい!
そう男が考えた直後、レイスがナイフへと手をかざす。
「マジックキャンセル!」
すると先程まで煌々と輝いていた魔法が打ち消される。
「なっ…!?」
男が驚いている隙に、レイスは溝に肘鉄を喰らわせた。
「ぐっ……」
瞬間、男は気づく。
コイツ…まさか…
「テメェ…キャンセラーか…!!」
魔法を打ち消すことが出来る者を、総称して【キャンセラー】という。
これは生まれつきの天性の才能を持つ者しか使えない。
レイスはこれが使えた。
だがキャンセラーは魔法を打ち消すことが出来るが…逆に全ての魔法が使えないのである。
男はまたナイフに魔法を込めようとする。
しかし…圧倒的にレイスの方が早かった。
ナイフを持つ腕を蹴りあげる。
「……ッ!!」
男の腕に痛みと衝撃が腕に走る。
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