第一章 賑やかなある日。

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男は、先程まで苦悩に顔を歪めていた相手が突然、落ち着いたことに戸惑った。 「おい!ここにいる奴らが全員死んでもいいのか!?」 レイスは慌てるどころか、表情一つ変えない。 そして男へ近づいてゆく。 「………ッ!?」 俺は男の目の前まで来ると静止した。 ──何を考えているのか知らんが…ここまで来れば避けることすら出来まい! そう男が考えた直後、レイスがナイフへと手をかざす。 「マジックキャンセル!」 すると先程まで煌々と輝いていた魔法が打ち消される。 「なっ…!?」 男が驚いている隙に、レイスは溝に肘鉄を喰らわせた。 「ぐっ……」 瞬間、男は気づく。 コイツ…まさか… 「テメェ…キャンセラーか…!!」 魔法を打ち消すことが出来る者を、総称して【キャンセラー】という。 これは生まれつきの天性の才能を持つ者しか使えない。 レイスはこれが使えた。 だがキャンセラーは魔法を打ち消すことが出来るが…逆に全ての魔法が使えないのである。 男はまたナイフに魔法を込めようとする。 しかし…圧倒的にレイスの方が早かった。 ナイフを持つ腕を蹴りあげる。 「……ッ!!」 男の腕に痛みと衝撃が腕に走る。
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