2人が本棚に入れています
本棚に追加
男のナイフが宙を舞う…。
「しまっ…!?」
俺はナイフを掴み取ると、素早く男の首元へと突きつけた。
「ひ…ッ……!!」
男はさっきの威勢を無くし、ただ怯えるだけとなった。
客の一人が拍手をし始める。
それにつられ、周りからも拍手が起こる。
レイスはナイフを男の首から離すと、男の耳元で囁いた。
「俺の名はレイス・ガルフォード…。通り名は『黒の狩人』だ。』
「ひィッ…!」
すると男の顔がみるみる内に青ざめ、慌てて店内から逃げ出してゆく。
その後を子分が追いかけて行った。
「あ…ありがとうございます!」
先程まで踞っていた店主が起き上がり、ペコリと頭を下げた。
「いえいえ。無事で何よりです。」
俺はその一言だけ言うと、料理を食うのに夢中になっているルレアのところへと向かい、首根っこを掴んだ。
「んむ?ほほへひっへはほ?(何処へ行ってたの?)」
口いっぱいに食べ物を詰めながらもごもごと喋る。
「何言ってるかよくわかんねぇし汚ねぇ!めんどいことになる前にここから出るぞ。宿で準備しないと…」
そう言うと、ルレア食べ物を飲み込みながら、怪訝な顔をした。
「でも…まだ残ってるし…」
最初のコメントを投稿しよう!