第一章 賑やかなある日。

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──俺の分まで食ってるくせにまだ食う気か……。 半ば呆れてルレアを引きずりながら会計を済ませようとする…が。 客の一人が声を上げた。 「やっぱり、黒の狩人だよね…?あの人。」 それは徐々に店内に広がり、やがてどよめきを生んだ。 「確かに…聞いた特徴と似てる…ってか同じじゃ…」 「聞いたことあるぞ…!東の国の紛争地域で魔法部隊を一人で壊滅に追い込んだとか…」 「東の国の魔法部隊って…!?むちゃくちゃ強いって話じゃない!それを一人で!?」 わいわい…がやがや… レイスから大量の冷や汗が流れ出る。 ──やべぇ。バレた。 「おっちゃん…金…置いてくよ!!」 俺は代金をカウンターに置くと、ルレアを脇に抱え、店を飛び出した。 「あ!逃げた!」 「やっぱり本物だわ!サインー!!」 「握手させてー!」 なんで戦った後にサインとか握手求められるんだよ!? 確かに、俺は今の仕事──傭兵業をしているが、ある時、東の国の魔法部隊壊滅を諸国のお偉いさんから依頼され、依頼通り『一人も殺さず』に壊滅させたのである。 その時の戦いっぷりからついた通り名が、『黒の狩人』である。 最近の奴は意味がわからない、と宿へと全速力で向かいながら思った。 ──あともう少し…!! 息を切らし宿へと駆け込むと、俺は自分の部屋まで駆け上がり、ルレアをベットへと放り投げる。 「きゃぅっ!……何すんのよ!もう少し大事にしなさいよ!私は女なのよ?もうこれはレイスの尻尾を堪能しまくるしかないわね!」 「……今度な?…はぁ。」 溜め息をつきながら俺は、着替えや物をリュックへと詰め込んでゆく。 「そーいやぁ…ルレアは準備終わったの?」 そう訪ねるとルレアは自慢げに答えた。 「昨日寝る前に終わらせましたよー!バーカっ」 若干腹が立ったが、ここはあえてスルーしよう。 「よし。これで終わったな。ルレア、も少ししたらここ出るか……ら?」 まただ。ルレアが尻尾を凝視している。 「あのー…今…ちょ……っとだけ…」 「ダメ」 即答。 だがルレアは諦めない。 「お願い!少しだけ…」 「だから嫌だって」
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