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段々ルレアが泣きそうになってくる。
「いいじゃないかぁ…減るもんじゃないし!」
「俺のテンションが下がる。」
泣いた。
「お前は…そうやってぇぇ……いつもいつもぉ…抱かせてくれないんだぁ……!」
「諦めろ。」
結局、ルレアはしょぼんとしながらチェックアウトした。
宿を出る。
ルレアはまだ落ち込んでいた。
「もふもふぅ……ぐすっ」
──まだ引きずってんのかよ…。
しょうがないな…、とレイスはルレアの頭を撫でた。
「あのさぁルレア…尻尾は絶対ダメだけど、他の所ならいいぞ?」
顔が明るくなる。
「ほっ…本当!?」
俺は黙って頷く。
「じゃぁ…抱きついても嫌がらない…?」
俺は、んー…と悩む素振りを見せ、こう言った。
「時と場を選ぶならいいぞ?」
ルレアはまるで子供のように喜んだ。
そして、喜ぶルレアに幼き自分を重ねる。
──母さんもこんな気持ちだったのかな…?
そう思うと何故か心が和んだ。
街の入り口まで二人で歩く。
そして入り口の門まで来ると、ルレアがいきなり呟く。
「早くレイスのお母さんに会いたいなぁ…。」
「え…?」
突然の一言にレイスが驚く。
「だってさ、伝記にも天使って書かれてるからさ。綺麗なんだろうなって。」
あぁ…と、俺は納得した。
「綺麗だし、美人だぞ?お前の何倍も。」
皮肉混じりにそう答えるとルレアが少し膨れた。
「ちょっと…それどーゆーこと?」
俺は満面の笑みを浮かべる。
「そーゆーことだ!」
そう言うと門を駆け抜けた。
「ちょ…!もー…待ってよー!」
後からルレアがついてくる。
───母さん!何処にいるかわかんないけど、絶対に見つけるからな!
こうして二人はまた、旅路についたのだった。
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