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すっかりルレアを忘れていた…
俺はルレアにもう少しだけ待ってとだけ伝え、また槍の方を向いた。
しかし此方は何故か、興奮しているようだった。
『おぉ!久々の人間じゃ!しかも乙女とは……!!これはなんたる幸運じゃのぅ!』
「コイツ…まさか変態の……ジジイか……?」
小声でポツリと言う。
いやだって…『~じゃ』とか使ってるし……
声が反応する。
「あぁ?若造……わっちがジジイじゃと…?」
肌を刺すような殺気がその場に立ち込める……
思わず身構え、ルレアも気配に気づいたのか、すぐさま隠れた。
……が。
『あ。わっち封印されとるんじゃった…』
思わず、ずっこけた。
後ろの視線が妙に痛い。
木陰からルレアが睨んでいるんだろう。
多分他人から見ても、今の俺はおかしいはずだ。
【声】がすまなそうに話し掛けてきた。
『すまぬ…若造!この槍抜いてくれんか?』
「抜くったって……」
実はこの槍、刺さっているのはいいが、永い年月が経っているのか酷く錆びつき、風化している。
握ったりすると多分、「ポキッ」と軽く折れてしまうだろう。
「……引っ張るぞ?」
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