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それでも俺は言われた通りに抜いてみることにした。
──いや、なんか抜かなきゃならない気がしたからだ。
槍に触れようと手を伸ばした時、その行動を見たルレアがレイスを制止した。
「レイス…このボロ槍をどーするの?ってかさ、さっきから一人で何をしてるわけ?ちゃんと私に全部説明しなさい。」
『ボロっ……!?』
ルレアは俺の目を真っ直ぐ見つめた。
レイスはそんなルレアの目にほんの一瞬だけ母さんの面影を見た。
「…ッ…!?」
その突然のことに息が詰まり、口が開いたまま、何も言えなくなってしまった。
「ちょっと?聞いてんの?」
またもやルレアが睨んでくる。
「あ……!?いや…わりぃ。説明する。」
そして俺は全て説明した。
そこからわかったことが一つ。
どうやらルレアには【声】は聞こえていないらしい。
ルレアは現状を理解すると、自分も槍を抜いて確かめたい、と意気揚々と答えた。
そして…もう一度、俺はゆっくりと槍に手を差し伸べ、軽く掴んだ。
それを横で見守るルレアも、固唾を飲む。
──意外と硬く、そこまで脆くは無さそうだった。
両手で掴み、ゆっくり力をいれる。
槍はすんなりと抜けてゆく。
まるで誰かが抜いてくれるのを待ちわびていたかのように
──なにが出てくるかわからない。
若干、覚悟をしながらも、槍を抜ききったのであった。
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