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握手した手から伝わるカイルの温もりは、後に彼女の楽しみになってゆく。
これが二人の出会いであった。
††††††††††
それから二年間。二人は森の奥地に家を建て、暮らしていた。
──三人で。
そう。めでたく結婚し、子供が生まれたのである。
子の名は『レイス』。
カイルがどうしてもつけたいと言っていた名だった。
幸い生まれたのが男の子だったため、女の子につける心配はなくなったのだが。
『ほーらレイスー!たかいたかーい!』
『あーうーっきゃぁーっ』
カイルが掲げる度、レイスは笑い声をあげる。
『ったくもー…親バカも程ほどにしなさいよー?』
ルナティがテーブルへと食事を運ぶ。
『んー?じゃぁルナはレイスが可愛くないのかー?…お?なーんかやけに豪勢じゃないか。今日の飯。なんかあったっけ?』
『可愛いわよ!…、まさかカイル…あなた今日がなんの日か忘れた訳じゃ…』
すると、カイルはレイスを揺りかごに乗せると、ルナティを抱き寄せる。
『忘れてる訳ないだろ?付き合った記念日。覚えてるって』
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