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「いやいやなんでそんな事気にしてんだよ俺!?抱きつかれるの好きじゃねぇのに…」
でも…ルレアが俺に抱きつかなくなるのは少し…
ブンブンブンっ
そんな音がしそうなくらいまで頭を振っているのを、蘭丸がニヤニヤとした顔で見ていた。
それに気づいた俺は、慌ててごまかす。
「はっ!?あぁいやいやなんでも…っ。てかお前らやけに遅いと思ったら、何でそんな仲良くなってるんだ?」
無理矢理話を逸らす。
蘭丸は相槌をうつと、人指し指を立て得意気に話した。
「あぁ、それはな?こやつからわっちと同じ匂いがしたからの。話したら打ち解けてしまってな!」
「同じ匂い…?まぁ…それはわかったけど…ルレア。」
「はっ、ひゃいっ!?」
レイスに急に名前を呼ばれ、声が裏返る。
「お、おお?なんか…熱でもあるのか?顔が妙に赤いし…」
「へっ?あっ…えっ!?いや…あの…な、なんでも…なんでもないよ?元気元気!あはははは!」
本人はそうは言ってるものの、傍からみたら明らかに様子がおかしいんだが…
「そっ…そうか…?まぁ、あんま…無理すんなよ?」
「うん…大丈夫大丈夫!」
ついでに、蘭丸から離れるようにルレアに促すと、ルレアはすんなりと蘭丸から離れた。
「ごめんねー…蘭丸さん…。つい……」
「よいよい。いつでも抱きつくがよい。わっちはいつでも用意はできとるからの♪あ、そうじゃ…」
蘭丸は軽く尻尾を振りながら俺へと顔を向ける。
──背中に悪寒が走る。
この時の蘭丸の目は…ルレアが俺をもふもふするときの目と同じだった。
軽く後ずさる。
が、後ろが丁度、木のため下がりようがない。
ルレアは唖然としながら蘭丸を見ている。
蘭丸は鼻がつきそうな距離まで顔を近づけてきた。
──顔が…近い…ッ!
緊張からか、体が強ばる。
それが伝わったのか、蘭丸は妖しく笑みを浮かべた。
「ふふ…そんな警戒せんでもなぁ…。わっちは取って食ったりせんぞ?ま、主にもうひとつの願いがあってなぁ…?それはな……」
一体どんな願いなのだろうか…。
──にしても…なんで俺、男にこんなことされなきゃ…
ゴクリ…と唾を飲む…
だが…その願いは至極単純で、簡潔なものであった。
「わっちを…お主らと一緒に旅をさせてくれぬか?」
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