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「……は?」
蘭丸の顔がどんどん近づいてくる。
「──ッ…べっ…別にいい…けど…そ…それより近すぎ…」
「む?おぉ、すまぬ。」
蘭丸は俺に詰め寄るのをやめ、笑みを浮かべる。
俺は一息吐くと、その場にへたりこんだ…。
なぜか変な汗が流れてくる。
「も…もう少しちゃんと頼めないのかよ…」
「いやぁ…お主はルレアより頭が堅そうじゃからな。これが一番効きそうかと…」
「だからって…」
──効くもなにも心臓に悪いっての…。
俺はまた大きなため息をついた。
そして、大きく息を吸うと同時に立ち上がり、蘭丸に握手を求めた。
「ま、よろしくな?蘭丸。」
「おぅ!よろしくの。」
あちらも手を差しのべ、握手に応えてくれた。
さて…そろそろこの森を出なきゃな…、ふと考えた時、ルレアの異変に気づいた。
顔から湯気のようなものが立ち上がり、目は点のようになり、まるで魂が抜けた脱け殻になってしまっていた。
「ん?おい?ルレア!おーい!」
近くで呼んでみても反応はない。
ただ、微動だにせず何かをブツブツ呟いている。
「レイスが…蘭丸さんに……蘭丸しゃんに……レイスがぁぁ……とられる…とられちゃうよぉ…」
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