2人が本棚に入れています
本棚に追加
──なに言ってんのかわからんが…何となく…危険じゃないのはわかった。
放っておきたいのは山々だが、このままにしておくわけにもいかない。
とりあえず…どうしようか…
そう考えていた時、蘭丸が横からひょっこり顔を出した。
「うぉっ!?」
いきなりの事に俺は飛び退いた 。
「なんじゃ?またルレアが惚けておるのか?仕方がないのう……。」
蘭丸は懐に手を入れ、そこから一枚の紙切れを取り出した。
紙切れには見たこともない文字がかかれているが…一体何に使うのだろうか…
「蘭丸…それは…?」
「まぁまぁ…黙ってみてるがよい」
蘭丸はレイスにそう言うと、その紙切れを軽く…舐めた。
すると文字が赤く光りはじめる…
「こんなもんじゃろ……よし。」
蘭丸が紙切れをルレアの頭上に投げた。
するとそれはパシリと音を立てて消え、代わりに……
消えた場所から、バケツ一杯程の水が降ってきた。
「にゃはぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
断末魔のような声があたりに響く。
「つめたぁっ!?ちょっと…何これぇ!びしょびしょじゃないっ」
当の本人は、自分に何があったかわからないようだった。
「何なのよぉ!いきなり水が降ってくるにゃんてっ…ふぁ…くしゅっ」
「おいおい…やり過ぎじゃないか?」
俺はルレアに上着を着せ、ほんの少し蘭丸を睨んだ。
「すまぬ…、少々度が過ぎたか…。じゃが、目は覚めたかの?ルレアよ。」
蘭丸がすまなそうにしながら尋ねる。
が、ルレアは首をかしげ、逆に聞き返した。
「ふぇ…?私…どうかしてたの?とりあえず私が水を浴びせられた理由を知りたいんだけど」
「あぁ…それは…じゃな……お主がぼーっとして反応もせんからな、頭から水を被せてみたんじゃ。」
「私、ぼーっとしてたんだ…」
「気は落とさんで良いぞ?わっちがやり過ぎただけじゃからな。」
蘭丸は少し笑いながら言った。
ルレアもつられて笑う。
「ふふ…ありがとね。」
「れ…礼なぞ…いらんっ」
言われ慣れていないのか、蘭丸がルレアから目を逸らす。
照れているのか、尻尾をやけに振っていた。
最初のコメントを投稿しよう!