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ルナティがため息混じりにカイルの腰に手を回し、抱き締める。
『もう。カイルってば、いっつもすぐ抱きしめて誤魔化すよね。』
『じゃ、今日はもう少し…』
『うん…』
二人がゆっくり顔を近づけてゆくのをレイスがキョトンとして見ている。
『あー…?う?』
視線に気付いたのか、ルナティが顔をそらした。
『レイスが見てるよ…?』
『む?…しょうがない。今度にするか。さぁ飯だ飯!レイスー!食べるぞー!』
響き渡るカイル、レイスの笑い声。
他愛のない会話や、カイルとの……
こんな何気ない日々が夢のようで、そして幸せだった。
しかし幸せが長く続く訳ではなかった。
度々、カイルは仕事といって出掛ける時があった。
一日で済むこともあったが、多いときは三日、酷いときは一週間など家を出ていた。
そして帰ってくる度に、何かしらの怪我をしている。
それでも尚、笑顔を絶やさないカイルにルナティは不安を…予感を感じていた。
その予感が的中する出来事が起こる。
レイスが3才を迎えたその日。
カイルは帰ってこなかった。
『今回の仕事は早く済むって言ってたのに…』
もうかれこれ一週間は帰って来ていない。
それでも、待った。
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