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けれども帰っては来なかった。
ルナティは心配した。
何かあったんじゃ…?と。
そう考えるといてもたっても居られず、ついにはレイスを連れ家を飛び出し近隣の街へと走り出した。
そして着くやいなや、手当たり次第の場所を探した。
カイルの友人宅や、行きつけの店、想い出の場所などたくさん探した。
けれども、カイルは何処にもいない。
一応、訪れたところには全てカイルを見たら連絡してほしい。と念を押した。
夜、ルナティは家には帰ったが頭の中はカイルのことでたくさんだった。
「あぁ……どうか無事で……!」
ルナティは祈った。
だが、返ってきたのは悲痛な現実だった。
結局その夜、ルナティは眠れず、そのまま朝を迎えた。
そして一通の手紙が届いていた。差出人はカイルの友人からだ。
『彼の亡骸が見つかったらしい。地図を同封するからこちらまで。』
と書かれていた。
───信じることができなかった
カイルが…彼が死んだなんて。
…確かめよう。
ルナティはレイスを背負うと、地図の場所へと向かった。
そこは町外れ郊外にある、遺体安置所であった。
少しレイスの事を心配したが来る途中でルナティの背中で寝てしまったらしい。
ルナティは意を決し、入り口へと入った。
そこにはカイルの友人と物々しい武装兵一同が揃い、深緑のシートが掛かった台を見ている。
そして、その台から何かはみ出ていた…。
───ふさふさとした尻尾だった
彼の尻尾と色も、毛並みも、何もかもが一緒だった。
段々と息が荒くなる。
嗚咽が、止まらない。
まさか本当に──。
母親は思いきってシートをめくる。
そこには……あの日消えた彼の亡骸が…そこにあった。
胸には大きな刺し傷があった。
『いやよ……いやぁ……帰ってくるんじゃなかったの…?ねぇ…レイスや私と居るときみたいに笑ってよ…ねぇってば……カイルぅうぅ……うぅ…』
『うあああぁぁぁあぁぁあぁ……』
母親はレイスを抱き締め大いに泣いた。
後にカイルは埋葬された。
そこにはルナティとレイスの姿はなかった。
二人になった母と子はどうなったのだろうか。
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