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あの日のカイルにそっくりの笑顔だ。
──この笑顔に悲しい事実を突き付けられる訳がない…。
ルナティは胸の奥が締め付けられるような気がした。
「……何でもない。リンゴ、食べよっか?」
先程受け取ったリンゴをレイスに見せる。
するとさらに明るい笑顔で、
「うんっ!!」
と答えてくれた。
このレイスの笑顔がカイルを失ったルナティにとって唯一の救いであり、かけがえのない幸せであった。
───だが、またも、幸せは長くは続きはしなかった。
この二年後に、大陸に戦争が起きる。始めは戦火の届かなかったこの森も、徐々に巻き込まれていった。
そして、あの日が訪れる。
レイスとルナティは、あの森の広い草原にいた。
カイルを探した…あの街の方では黒煙が上がり、その光景が只でさえ戦火に怯えるレイスの恐怖心を、より強くした。
お陰で、此処のところずっとレイスは笑顔を見せてくれない。
震えて、私に抱きついてくる。
そして今日もまた……
ルナティはこの戦争を起こした者を強く憎んだ。
「母さん…」
ルナティの思いが伝わったのか、レイスがか細い声で、母親に呟く。
その声は若干震えていた。
「大丈夫。私がいるから。母さん強いんだよ?」
するとレイスは顔を上げ、泣き腫らした目でルナティを見つめながら言った。
「本当?」
「そうよ?悪いやつなんてバババーンって倒しちゃうんだから!」
ルナティがおどけて見せると、レイスが笑ってくれた。
母親は頷き、手をレイスの頭に乗せようとしたとき……何かに気づく。
──武装した人間の集団が此方へと近づいてくる。
「そんな…!?もうここまで攻めてきたの……!?」
数は6人。いづれにせよ、レイスを危険に晒す訳にはいかない。
そしてルナティは決心した。
──戦おう、と
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