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「レイス。草むらに隠れてて?」
レイスはルナティのいつもと違う雰囲気を感じたのか、黙って草むらへと隠れた。
ルナティはそれを確認すると安心し、それと同時に嘆息もついた。
また『あの力』を使うのか…と思うと気分が落ち込む。
ルナティは幼き頃から他人より魔力の値が桁違いに多かった。
周りからは【化け物】と蔑まれ、カイルと出会うまで一人で生きてきた。
そしてルナティが子供の時の事。
故郷の村があった国は、当時大陸の大半を閉めていた。
その村の誰もが読めなかった謎の本。
それは禁じられた魔法が記されていた。
ルナティはその本が不思議と読めた。
興味本意で書いてあることをやった。
──ただそれだけなのに。
その日、『国の半分』が消えた。
死亡者、怪我人は数えきれないらしい。
それ以来、魔法をコントロール出来るようにはなったが、今でも強い魔力を使う魔法は、暴走をしてしまうことがあり、今のいままで強力な魔法を使うことはなかった。
──これ以上犠牲を増やさないために、そして二度と過ちを繰り返さないために。
それでも───ルナティにはレイスを守るために、どんな犠牲を払ってでも良い…そんな覚悟があった。
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