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「…あ、えっと。なんだ、お邪魔しましたー」
そそくさと立ち去る、これしかない。
転校生はまだフリーズ中だし、きっと逃げ切れる。
そう確信した俺だったが、どうやら副会長は俺より一枚上手だったようだ。
「…どうしてこんなところに居るのですか?」
怖い怖いそんなに睨まないで下さい。
まさか木の上から二人を観察していました、なんて言えるわけがないので、俺は俯く。
それをどう捉えたのかは知らないが、副会長の眼光は益々鋭くなった。
「…もしかして、僕たちのやり取りをずっと見ていたのですか?」
ばれちゃったー!!
「…すみません」
冷や汗をダラダラトと垂らして頭を下げる俺に、汚物を見るような視線を投げ掛けた副会長は舌打ちをする。
…酷くない?
普通理由も聞かずにそんな反応するかよ。
もしも俺が、さっき考えた通りの木から降りられなくなった猫を助けるために木に登った、ラノベの主人公だったらどうするつもりなの?いや違うんだけどさ。
そんな俺の思考を打ち切ったのは、やっぱりというかなんというか、副会長だった。
「これだから馬鹿は嫌なんですよ…さあ、不快ですので早く何処かへ行ってください。この…微生物擬きが」
「………ぷっちーん」
しまった、余りにも苛ついたから口でぷっちーんとか言っちゃった。
でも、俺の何かが切れたのは本当である。
動かない俺を見て、再び口を開こうとした副会長よりも早く言葉を被せる。
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