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「微生物擬き?先程副会長はそう言いましたよね。それってどういうことですか、もしかして微生物の事を軽んじているんですか?微生物がどれだけ俺たちの生活に影響しているかは勿論知っていますよね。高校一年の生物で習いましたし。自然界の循環と浄化を支えているのは微生物ですよ。土を柔らかくするのも微生物。水を綺麗にするのも微生物。その微生物を軽んじるだなんて、もしかして微生物がいなくても僕は平気ですとか考えてるんですか。ああ成程、副会長は今まで野菜を食べたことも水を飲んだことも無いんですね。でも残念ながら貴方の腸にも腸内微生物というのが居ましてね。栄養素を分解しているのですよ。つまりどうあがこうが副会長は微生物無しで生きられないんです。それを差別用語に使うだなんて微生物への感謝が足りてないんでは?」
起伏のない声でここまで一気に喋った俺は、一旦言葉を切る。
そして大きく息を吸い込み、心底軽蔑しきった目で見下しながら言った。
「…この、微生物様に生かされているに過ぎない人間風情がっ!!」
お前は一体誰目線から話してるんだよ!!
そんな彰の突っ込みが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
全てを出しきって妙にスッキリとした気分で副会長を見れば、だらしなく口を開けていた。ざまあ。
転校生も突然の長文に驚いたらしく、副会長と同じような表情をしていた。
こいつは完全にとぱっちりだな、申し訳ない。
「…あの、」
「あなた、名前は」
先程の意趣返しか、言葉を被せる副会長。
「…西森、亮ですけど」
「西森亮…はい、覚えました」
覚えた?どうして?まさか生徒会全員で仕返しに来るとかじゃ無いよな。
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