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訝しげに副会長を睨み上げる俺の視線など気にも止めずに、副会長は此方へ寄ってくる。
どうでもいいけど背が高いなこいつ。近付くにつれひしひしと感じる劣等感。
首が痛くなるために胸の辺りにある校章を眺めていれば、不意に顎を捕まれて、よく漫画で見るような方法で上を向かされる。
「…ナニカゴヨウデスカ」
思わず片言になった俺を見て、副会長はニヤリと笑う。
いつもの作り笑いでも、先程見せた癒しスマイルでもなく、底意地の悪い笑みを見せた副会長の顔がどんどん近付…は?
「な、何をしてるんですか副会長…」
近い近い近い!!
顎を捕まれたまま問えば、意味深な笑みが返ってきた。絶対性格悪いだろこいつ。
「あんな風に怒られたのは初めてです。周りの人間は僕を怖がって間違えを正してくれる人なんて居なかったから」
「痛い首痛いついでにプライドも痛い。何で彰といい副会長といいそんな背が高いの。俺は平均だっての」
「樹は初めて作り笑いを見破ってくれた。貴方は初めて私を叱ってくれた。今日一日でこんなにも沢山の初めてを経験しました」
「ほら横見てみて下さいよ。副会長のお気に入りが暇そうに突っ立ってますよ」
会話のキャッチボールならぬデッドボールを繰り広げる俺と副会長。
だけどその間にも鼻と鼻がくっつきそうになる。
……あ、もうだめ限界。
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