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「はい次、加瀬答えろ」
…なんか授業みたいだなこれ。
ホスト教師の受け持ちは数学であるため、どうしても思い出してしまって苦い顔となる。
指名された彰も同じだったようで、顔を歪めた。
「りょーちゃんにセクハラするホスト教師に話しかけられたせいで死にたくなりました」
そっち!?
数学のことなど微塵も考えていないらしき彰は、心底嫌そうな顔で吐き捨てた。
確かに成績の良い彰には、指名されても困ることなど一つもない。
爆発しろ!!
と、俺が歯軋りをしている時。
「…あ、の…先生……」
小さな声が後ろから聞こえてきた。
振り向けばそこには、顔を青ざめさせた委員長の姿が。
少し大きめな眼鏡に寝癖が一つもついていない綺麗な髪の毛。
見るからに優等生なこの男子生徒が、我らがクラスの委員長である。
「そろそろ、転校生を迎えにいく時間では…」
眉を垂れ下げて話す委員長は何処か小動物をイメージさせる。
マイナスイオンを発する委員長にクラス中が癒されたが、どうやらホスト教師だけは例外だったようだ。
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