116人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっ、彰どうすんだよ。あんなところから落ちたら骨折じゃ済まないんじゃ…」
「………」
無言で鼻血を垂らす彰は使い物にならなさそうだ。
というか王道転校生が来た時点でこれって、こいつ今日中に出欠多量で死ぬんじゃないの。
俺がそんなことを考えている内に王道転校生は門を登り終えたようで、躊躇いなく飛び降りた。
まさに『I can fly!』状態の王道転校生は、やっと下に居た副会長に気がついたようで慌て始める。
「うっわ、ちょっとそこの奴退いてくれ、ぶつかる!!」
ドップラー効果でどんどん大きくなる転校生の声に気がついた副会長は、大きく目を見開いた。
気が付くの遅すぎだろお前。
「は、早く退けよ危ないから!!」
「………っ!」
この間にも王道転校生と副会長の距離は縮まる。勿論心の距離とかじゃなくて物理的に。
嫌だよ、俺目の前で人間がザクロになるところなんて見なくない。しかも二人分とかトラウマものですからマジで。
…ってもう間に合わないな。きっとこの後二人とも臨終を迎えるのだろう。はい黙祷!
と、勝手にこの先の展開を予想して目を瞑った俺だったが、予想に反して大きな音は聞こえてこない。
代わりに聞こえたのは、フワリという軽い音。
不審に思って恐る恐る目を開けば…
副会長にお姫様だっこされてる王道転校生がいた。
…おっふ。
最初のコメントを投稿しよう!