指定席

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「………いた…」 彼は今日もそこにいた。窓枠に頬杖をついて外を見ていた。 緩む頬を押さえつつ、何冊かの本をとり棚ひとつ挟んだ窓辺に椅子を引っ張る。 (……やった…) 彼の顔がギリギリ見える位置に座る。手元の本を開くもどうしても彼に意識が向いてしまう。 (今日も格好いいな…) 黒のタンクトップに濃い青のシャツを羽織り、ジーパンにスニーカーといったシンプルな彼はこちらに気づかず外を見続ける。 整った顔に細身で長身の体つき、あちこちはねている長めの髪は猫のような印象を与える。 眠いのか時々欠伸をしながらもずっと外を見続ける。
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