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彼女はそれを乱暴に受け取ると、自転車に股がって急げと急かしてくる。
それに対して「一体誰の所為で遅刻しそうなんだよ」とぼやいた。すると、三白眼を向けられ、先に行ってしまう。なんて自由な女なんだ。自由の女神でもそこまでフリーダムじゃないぞ。
僕の愛車、グリーンでクリーンと風評のある自転車に乗って、高速で可鈴を追跡する。
「待っていた人を置いていくって……どういう神経してるんだ!」
そう叫ぶものの、浜辺で女の子を追い掛けている姿をイメージする僕でした、まる。
しかし、リアルは悲惨なものだった。彼女の方が運動を得意とする為、距離がてんで縮まらない。それどころか、どんどん差が広がっていく。
僕の足は、女子にも追い付けない貧弱ものなのか? このままでは、浜辺で鬼ごっこ(僕と可鈴限定)というマイドリームが叶えられない。
頑張れマイフット。あの麗しき美女を捕まえるんだぁああああ!!
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結論。無理でした。
途中からは、可鈴が僕の元まで戻ってきて『なさけない』と悪態をついてくる始末。
それでも最後まで僕と同じスピードでいてくれたのは、彼女の優しさだろう。流石マイエンジェル。
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