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「今日も可愛い寝顔だなあ」
僕の幼馴染みである七島可鈴の顔を眺めているだけで、心が温かみを帯びる。生きててよかった。
断っておくが、彼女はきちんと自分のベッドで睡眠をとっている。つまり、ここは彼女の部屋なのだ。
更にここで勘違いを起こしてしまう恐れがあるので付け加えて話しておくが、僕は断じて彼女の寝こみを襲おうなどとは考えてない。いや、ほんとだから。
だったらどうしてここにいるのでしょうか? それは至極簡単。彼女を起こすことが僕の指名だからだ。だから合法。よって通報される恐れなし。
可愛い寝顔を拝むのはそのついでである。さて、今日はどうやって起こそうかしらん。
口を半分開けて寝ている彼女を見下ろしながら考える。艶のある長髪が、ベッドの上で蜘蛛巣状に広がっている。
掛け布団が蹴飛ばされて、華奢な体とご対面。服の裾が捲り上がり、おへそがこんにちはしている。
これらから解るように彼女はかなり寝相が悪い。だけどそこにぐっときちゃう僕。
最もシンプルな方法として、肩を揺すって起こそうかと思ったが、すぐに取り止める。
変わりに、彼女の肩まで伸ばした手を顔へと移動させる。
指先で恐る恐るといった体で、軽く頬っぺたをつついてみた。
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