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「いま何時かしら?」
「……七時二十分くらい」
声色からして明らかに不機嫌だ。通報とかしないよね。なんて聞いた瞬間に警察が来そうなので、できうる限り余計なことは言わないようにする。
「何時から私の部屋にいたの?」
「今来た所です」
「嘘付くな。本当は何時なの?」
「……七時です」
「またか!? またなのか!」
そう、またである。彼女を毎朝起こしに来る時は、決まって観賞会を行っている。もう、僕の生活の一部といっても過言ではない。
――と以前伝えると、言葉より先にパンチが返ってきた。だから、今回は別の理由を考えないと。
可鈴が好きだ、と言えれば全て片付くのだが。それをすることにより、僕が片付けられる可能性も否めない。
僕が言い淀んでいる姿を見て、彼女が深い溜め息を吐いた。
「もういいわよ。取り合えず、着替えるから出てって」
「朝食はどうする?」
「食べない」
「了解」
短く切り返しをすると、部屋の窓をスライドさせる。そこから綺麗な景観などなく、変わりに僕の部屋が見える。
そう、僕と彼女の家は隣同士。もっというと、僕と彼女の部屋はパイプのように繋がっていると比喩で表現してもいいほど近い。
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