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てくてくと竹林の中をてゐとうどんげが並んで歩く。
普通であれば必ず迷うであろう複雑な道も、なんの躊躇いもなく進む。
「ところで鈴仙ちゃん、薬の材料ってどこに取りに行くの?
ていうかそもそも何を取りに行くの?」
てゐがうどんげの顔を覗き込む。
「あぁ、そういえば言ってなかったわね。
まずは魔法の森で魅惑のキノコを採るでしょー」
「何よそのあやしいキノコは」
「キノコなんて全部あやしいわよ。
次に鈴蘭畑で毒を採るでしょ」
「やっぱ帰る」
「待ちなさい」
うどんげは逃げようとしたてゐの耳をむんずと掴んだ。
「嫌だー!鈴蘭畑にはあいつがいるじゃないかー!」
「はいはい。
で、最後に彼岸で彼岸花、か。…師匠は何の薬を作るつもりなんだろう」
「どうせろくでもない薬でしょ」
「まあね」
「否定しないんだ、鈴仙ちゃん」
「したくてもできないよ。
毎日毎日師匠の変な実験につきあわされたら」
「…ま、ガンバ」
「うん」
そんな会話をしながら二匹はてくてく歩いていた。
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