1 道端の糞

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1 道端の糞

 今日は金曜日。私は呆れるくらいに長い石階段を下りきると先日の雨でぬかるんだ地面にしゃがみこみため息をついた。  階段を下りきったといってもまだ大通りに出るまで林道を1kmほど歩かねばならない。そこから学校まで2kmの道のりをバスで行く。そのバスに乗り遅れないために、私は明朝からこの長い階段を下りてきたわけです。  大学は寮のある学校にいきたいなあ。でも和那ちゃんと一緒に受けようって決めた学校にはないんだよなあ。せめて一人暮らししたいんだけど、お父さん許してくれるかなあ。  また深いため息が漏れた。私の家は代々お寺の家計で、今は父と4人のお弟子さんが切盛りしている。そんな家計の一人娘です。かわいいのはわかるけどいい加減子離れしてほしいなと思うだけで口には出したりしません。だって私の家族は……お義父さんだけだから。  いけない。バスに遅れる。ハッとして携帯電話の時刻表示を見てみると時刻は7時24分。思いのほか余裕のある時計表示にほっとすると、ようやく立ち上がりうーんと背伸びをした。 「はあ……昨日の雨がうそみたい」  青く澄み渡った空。林の奥から聞こえてくる鳥の囀り。心地よく吹き抜ける初夏の風。道端に咲く花々に囲まれて大きな大きなうんこ……うん……こ?  前髪をなんだか生暖かい風が撫でていきました。  
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