少年は只勇者であるが故に幕開けを知る

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 俺はそのころ既に原因を知っていた。  その原因こそが、この洞窟――そのころはまだ『英雄の洞窟』という呼称はなかった――の三つ目の異質なことだった。  その三つ目とは、怪物だ。  もはやファンタジーであればよく見るようになった言葉だが、実在するものと物語のなかのものとでは重みがはるかに違っていた。  メディアが報道したのはかなり最近だった。それまでは報道に規制がかかっていたため、また、確証がなかったため、メディアが報道できなかったのだ。  それは本当に大きな波紋を呼んだ。次に衝撃的なニュースが出るまでの間は一週間だったがそれまでには今までに無いほどの動揺が走った。  その衝撃的なニュースとは、怪物のデータを元とした超能力のことなのだが、俺はそんなご大層なもの発現どころか片鱗もなく……。  閑話休題。  では、四つ目を言おう。  ここで最も異質かつ鬼畜な事を。
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