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そして、それがこんなにも明確にわかっているのは、俺があの洞窟に入ったことがあるからだ。
俺は六年前に幼馴染と洞窟に入った。
訳もわからないままに死に掛け、気付いたころには病院の白い部屋の中だった。
俺はその時点で、英雄の洞窟に対して、憎しみと好奇心を持っていた。
なぜその時助かったのか、考えたが忘れてしまったらしい。全くといって思い出せなかった。
が、その記憶は割りと早い段階でわかった。
それの原因は……
「にししー。勇者クンは今日も惨敗だねー。そんなんであたしの洞窟を攻略できるのかにゃー?」
「……うっせぇ」
こいつだ。
英雄の少女(の霊)。
この金髪碧眼ワンピースの女の子は六年前から俺に憑いていて、なぜか俺のことを「勇者クン」と呼ぶ、煽りの達人だ。
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