7人が本棚に入れています
本棚に追加
ようやく叔父の家へと着く。そこは、ちょっとした豪邸だった。高い壁に囲まれた大きな屋敷。その壁の真ん中にある、格子のある柵で閉ざされた、大きな門。その奥からは、鮮やかな色とりどりの花の木が、こちらを用心深げに覗いていた。
父親が門の側の立派な表札の、その下についたチャイムを鳴らす。
〈キンコーン〉
重々しい雰囲気の音が鳴って、インターホンから声が聞こえた。
『はい』
「こんにちは。浅原です」
『ああ、ちょっと待ってください。今行きます』
そう聞こえた後、2、3分は誰も出て来なかった。少年は早く涼しい屋内へと入りたかったが、その望みが中々叶わないので、じれったくて、母親にアイスが食べたいとごねていた。
やがてガチャンという大きな音がしてドアが開き、屋敷の中から人影が現れた。
「やあ、幸江、聡志さんも。よく来たね」
そう言いながら、白髪交じりの初老の男性は鍵をがちゃがちゃ鳴らし門を開けた。
最初のコメントを投稿しよう!