終焉

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勇者は男の答えを聞き、しばらく考えた後でようやく気付く。 「まさか、それは」 驚き震える勇者に男は笑みを深めながら、口を開いた。 「想像通り、これは魔剣さ。言っておくが、魔王を倒すために勇者が生まれるんじゃ無いぞ?勇者が魔王を作るのさ、そのための魔剣だからね。 勇者がまともじゃ無くなった時に、勇者に深い恨みを抱く人間を呼び、勇者に対抗する力を与えるのがこの魔剣であり、あるものを代償に願いを叶える能力があるのさ」 男は微笑み勇者を見る、勇者は震える声で問い掛けた。 「その代償は何だ?」 微笑みを止めず、男は狂気を孕んだ瞳で勇者を見ながら、楽しげに答える。 「自らの体だよ、願いが叶うと、私の体は魔剣に奪われ、世界から人間が居なくなるまで暴れ回るのさ、恨むなら過去の自分を恨むんだね」 そう言い終わると男は一瞬で間合いを詰め、勇者から聖剣を奪い、勇者を蹴り飛ばした。 「これで勝負は私の勝ちだね」
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