メイド事情

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「ほら早く!」 腐女子と呼ばれる人種の友達、奈緒に駆り出されて、繁華街にやってきた。 「ここ!すごく人気なんだよ、スイーツとか内装とか店員さんとかどれもすごく可愛くて!」 「ふーん」 PINK CAFEと書かれた看板を掲げているその店は、名前の通りピンク色だった。 正直男には入り辛い雰囲気だ。 「帰りてぇ…」 「はぁ!?そんなこと言ってたら罰として過激BL音読してもらうからね?」 「うわぁ…」 こんな具合で俺には拒否権がない。 渋々奈緒についていくと、奈緒は慣れた様子で受付を済ませた。 店内を見回すとピンクと白のメイド服を着た店員が接客している。 どうやらここはメイド喫茶らしい。 「それでは御席にご案内致しますね」 案内してくれている店員に違和感を感じた。 「なぁ…奈緒…」 「ん?」 「この人男…?」 「え?何言ってんの?」 「んなわけねーよな…」 「男に決まってんじゃん、女装喫茶だもん」 どうやら知らなかったのは俺だけだったらしい、店員も客も俺を見て笑ってる。 まじで帰りたい…。 「あたし言ったよ?女装喫茶って」 「わりぃ、聞いてなかった…」 席に座ると、案内してくれた店員がメニューを見せてくれた。 「初めてのお客様のようですので、最初から説明させていただきますね」 「すみません…」 「ふふっ、まずここは女装喫茶です。つまり店員は全員男です。店員を侮辱するようなことを言うのは禁止です。それと接客について。指名はされてもされなくても構いません、ご指名はこちらの店員メニューよりお願いいたします」 「あ、ハルカちゃんを!」 「畏まりました」 説明を途中から聞いていなかったのだが、いきなり奈緒が待ってましたとばかりに興奮した様子で喋ったから現実に戻された。 「ハルカちゃん、ご指名~」 「あ、はい…!」 ホールで飲み物を運んでたメイドが返事をした。 どうやらそのメイドがハルカちゃんらしい。 男のくせに女みたいな名前付けられて…恥ずかしくないのだろうか。 「ご指名ありがとうございます、ハルカです」 「きゃー!やっぱり可愛い!!」 「あ、奈緒様」 「覚えててくれたんだ!?やばい!ハルカちゃん超好き!嫁にしたい!」 …ついていけない。 名前覚えられるとか、どれだけ奈緒は通いつめているのだろうか。 それにしてもこのハルカという店員……ものすごく脚が綺麗だ…!
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