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しばらくその脚に釘付けになっていると、奈緒が俺の隣にハルカちゃんを座らせた。
「初めまして、ハルカです」
「あ、弥です…」
名刺を差し出したハルカちゃんはどちらかというとメイドというよりキャバ嬢みたいだ。
「ご主人様とか、お嬢様とか言わないんですか?メイドなのに…」
「あ、そうやって呼ぶメイドもおりますが、私はお名前で呼ばせて頂いております。嫌でしたら希望する通りに呼ばせていただきますが…」
「名前で大丈夫です…!」
「なぁに緊張してんのよ」
切なげな上目遣いで見られたせいで心臓が跳ねた。
奈緒がけらけら笑ってる。
「差し支えなければ奈緒様と弥様のご関係をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「そんなのただの友達よ!あたしはハルカちゃんが好きだから!」
「奈緒様…とても嬉しいです」
ふにゃんとした笑顔を見せるハルカちゃんは男とは思えないくらい可愛い。
「ハルカちゃんてさ、もしかして奈緒のこと好き?」
「へ?勿論好きですよ?」
「やだー両想いじゃん!!」
「え!?あ、えっと…」
ハルカちゃん的には人として好き、ということだったらしい。
多分奈緒は恋愛感情でハルカちゃんのことが好きだ。残念ながら両想いではない。
「遅くなって申し訳ないですが、お飲みものはいかがでしょうか?」
「あー…じゃあミルクティーで」
「あたしカルピス!」
「はい、畏まりました」
ハルカちゃんは伝票のような紙に注文を書いて、ホールで働く他のメイドに渡すとまた俺達の雑談に付き合ってくれた。
「遼(リョウ)って書いてハルカなんですね」
「えぇ、本名がリョウなんです」
「え、言っちゃっていいんすか、それ…」
「…?あ、聞かなかったことにしてください…!」
「ハルカちゃん可愛い!!」
ハルカちゃんは天然だ。
「ハルカ、後で更衣室に来なさい」
「は、はい…」
ロングスカートで眼鏡をかけた知的な感じのメイドが、ハルカちゃんに冷たい口調で言い放った。
ハルカちゃんはそのメイドに頭が上がらないようだ。
「相変わらずきついなーユキさん。この間もハルカちゃん呼び出されてたよね」
「メイド長ですから…粗相をしでかしたメイドの説教はユキさんのお仕事なんです…」
これだけ天然なら一日一回はお説教されてるだろう。
「お仕置きプレイとかあったりして!きゃー!」
「心の声が洩れてるぞ」
「出てた!?」
ハルカちゃんが苦笑してる。
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