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腐女子に捕まると厄介だと俺は知っている。
「ハルカちゃんて、なんか守ってあげたくなるな」
「え?」
「おぉ!?弥、それは告白か!?」
「なっ…ちげーよ馬鹿!」
「ふふふっ、ありがとうございます。これでも私、強いんですよ?」
「あ、いや…力じゃなくて」
「??」
そういう天然なところが危なっかしくて守ってあげたくなるのだけれど、本人は気づいていないようだから敢えて言わないでおく。
「お飲みものお待たせ致しましたー」
「あ、ユイちゃん!」
「あー奈緒ちゃんだぁ!またハルカ指名?オレのこともよろしくね?」
飲み物を運んできたメイドはユイちゃんというらしい。
奈緒はとてもこの店に詳しくて、店員に覚えられるくらい名物客になっているようだ。
にしてもこのユイというメイド…、少々フランクすぎないか?オレ、とか言っちゃってるし。
「ユイ、お客様の前でタメ口は駄目だよ。ユキさんに怒られちゃうよ」
「見てたよ、ハルカがさっきユキさんに呼び出されるとこ。どーせ呼び出されても二人いっぺんのお説教なら平気だって!」
メイド同士が話すのを見てると、仲がいいんだなという感想と共に、ガールズトークを聞いているような感覚になって恥ずかしくなってきた。
ガールズトークも何も、男同士の会話なんだからガールズ要素はほぼないが。
「ユイ、ハルカ、二人共後で来なさい。ご主人様方をほったらかしにしない!」
「「はい…!!」」
笑い合っていた二人の表情がユキさんの言葉で急に真っ青になった。姿勢も正して、まさに叱られる子供だ。
「仕事します…」
「またねーユイちゃん」
ユイちゃんが下がると奈緒はユイちゃんについて語りだした。
「ユイちゃんも可愛いよね。喋ってるときの舌足らずな感じとか、いっつもニコニコ笑ってて、友達になれたら絶対楽しい!」
「私の同期なんですけど、ずっと一緒にいて飽きませんし、すっごく優しくていい人ですよ」
確かに嘘をついたりはしなさそうだ。
でもユイちゃんの脚は、昔サッカーか何かをやっていたようなスポーツマンの脚をしていた。
どちらかというとハルカちゃんの方が好きだ。
「そだ!飲み物が来たということは!」
「そうですね、奈緒様お待ちかねの…」
「乾杯か何かか?」
「男性限定サービス!!だからあんたを連れて来たのよ!」
なるほど、ちゃんと目的があって俺は呼ばれたわけだ。
にしても男性限定サービスって一体何だ?
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