お仕置き

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弥と奈緒が帰り、仕事が一段落した遼は、ホールの仕事もなくフラフラしている唯を連れたち言われた通り更衣室で雪を待った。 「オレ絶対この仕事合ってねぇよ…」 唯は素で落ち込んでいた。 「なんでこの仕事始めたのさ…」 唯は確かに可愛いが、女装をして働く意味はないと遼は思っていた。 別に唯は女装癖があるわけでもなければ、ゲイというわけでもない。 「なんでだっけなぁ、あ!オーナーにスカウトされて、給料良くて、うんって言っちゃったんだ」 「慎重に選びなよ…」 唯らしいといえば唯らしいのだが。 「じゃあ遼は慎重に選んでこの職業なの?」 「私は…」 遼が話そうとした時、更衣室のドアが開いた。 「お待たせ。さて、早速始めようか」 雪が妖しく笑う。 ロッカーから指し棒を出して、それを伸ばすとまず唯に向けた。 「唯!まずお前だ。お前は何度言ってもわからないようだな。その口調どうにかならないのか」 「これが好評だからいいんですぅ」 「口答えするな!お前にはメイドとしての自覚はないのか?」 「えぇ、全く」 「それなら辞めてしまえ!」 「それは言い過ぎなんじゃねーの!?」 遼にとって気まずいことになった。 唯は以前から雪を毛嫌いしていたところがあったが、喧嘩になるとまでは思っていなかった。 俯いて時が過ぎるのを待つしかない。と言うのも、二人が言い争っている恰好がメイド服であることが主な理由なのだが。 声だけ聞けば立派な男性なのだ、男声で怒鳴るメイドなんて見たくない。 「辞めたくないなら必死で仕事してみろよ、せいぜい指名が取れるようにな!」 「うっせーなぁ!」 「さっさと仕事戻れ、おらぁ!」 「呼び出されてなけりゃ仕事してたっつーの!べぇーっだ!」 力任せに閉められたドアの音に肩をびくつかせると、唯の足音は遠ざかっていった。 「はぁ…。あ、遼も居たのか。お前は何しでかしたんだっけ」 「あの…名前を…」 「あー…」 正直に自分が犯した罪を口にすると、雪の目がまた妖しく光った。 手にしていた指し棒を遼の顎先にあてると、唯の時と違った咎め方をしてきた。 「遼、今回で呼び出し何回目だ?」 「…4回目です…」 「次で5回目だよな?覚えてるか?私との約束を」 「はい…」 「まさかそのためにミスをしてるわけじゃないだろうな?」 「断じてそれは…!」 「…それはそれで生意気だな」 5回呼び出しを喰らうと、きついお仕置きが待っている。
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