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しかもそのお仕置きというのが普通じゃない。
「ふふ、お前の大切な初めてをどうするか楽しみだよ。まぁミスを犯さないことが一番好ましいけどね」
そう、遼の処女を奪うと言い付けられているのだ。
遼は勿論嫌なのだが、自分の天然さをコントロールできずに、4回ミスを犯している。5回目だって時間の問題だ。
「最近は遼も指名が入るようになったし感心だが…、今日来た男の客が気に入らんな」
「弥様ですか…?」
「多分あの男は次来る時は一人だろうな」
「なぜそんなことがわかるんですか?」
「完全にハマってしまっている目をしていた。長くこの仕事していればわかるさ」
「ではなぜ気に入らないのですか?」
客を第一に考える雪が、客に対して嫌いと言うような態度を見せるなんて初めてだ。
嫌われるようなウザイ客でもなければ、目立った悪さもしていない。
むしろ比較的親しみやすい客である。
「お前は鈍いな…」
「…普通の人ならわかることですか?」
「いや、私が悪かった。聞かなかったことにしてくれ」
結局答えは教えてくれないまま、上手く逃げられた。
「さて、仕事に戻ろう」
「はい」
唯との口論が嘘だったかのように、雪は優しい口調で言った。
「遼、くれぐれもミスのないように」
「…はい、気をつけます」
自分の命運が懸かってしまっているのだから必死にもなる。
その日の仕事はなんとか切り抜けられた。
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