星を継ぐモノ

2/3
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
惑星連合。別称で『惑連』や『PU』等の呼び名がある。2100年代初頭に設立されたこの統一政府は広がり行く人類の拡大領域を予測し、自由に、かつ安全に人類の活動領域を増やす為に存在している。 惑星連合に全ての国家や民族が所属したことにより″戦争″という言葉は急速に廃れていった。しかし、その反面、大規模な紛争が急速に広まっていった。 それは惑星個別の自治政府に許された唯一かつ無二の暴力的政治活動であった。 その暴力活動には多くのエーテル新技術が使用され、度々世界全体の技術水準を上げていった。しかし争いの原因は古来からさほど変わる事はない。 メキシコ系植民惑星『シウダッテ』とフランス系植民惑星『マルセイユ』の間で起こっている領域紛争も例外ではない。 領域紛争の原因は惑星間に存在する資源衛星『クリッパー』にスフィアの原料であるヒヒイロカネの大鉱山が発見されたことに起因する。 ヒヒイロカネを原料とするスフィアは今のエーテル技術の土台を作り上げた半透明金属である。現在の惑星連合内での経済活動の10%近くはこのスフィア関連の事業である。 故にエーテル技術関連の経済活動に乗り遅れ気味のこの二星にヒヒイロカネが取れる鉱山が見つかったとなれば争いになるのは必然だった。 故に戦場は『クリッパー』の最も広い平野にておこなわれていた。 戦場は膠着状態である。シウダッテ防衛軍はBFとライデットを全面に出しつつ、遊撃として機動力の高いBDとルナリスを左右から展開していた。対してマルセイユ国営傭兵団はその人員の構成ゆえにBFとBDが多く軽量BFにBDを積載して一点突破を狙っていた。 その一点突破は効果的であり、シウダッテ側はBFの撃破率を鑑みて、左右のBDとルナリスを防衛へと回すことになる。となると軽量BFでも回避するのは困難なルナリスの攻撃に対してマルセイユ側は引く事を余儀なくされる。 このように引いたり押したりの一進一退が続いていた。この場合、紛争が長く続くことを避ける為に″戦争の全権代理人″が出ることになる。 ″LBF″である。 2400年代後期に開発されたそれは最もORライデットに近い兵器として惑星連合に公開された。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!