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「早くこちらへ来なしゃいや」
のび太の隣で仙人張りの口調を放つ珠季の姿を見て俺は足が止まった。
何故なら、このグループ分けは出席順である筈だからだ。
なのに、糸賀と俺が同じ班な時点で梶巻のび太はギリギリ入るか入らないかでまだ理解は出来ようものだが、サ行はさすがに無理だろう。
スズキはさすがに無理があるだろう。
何?何なの?裏工作?
俺は、まだ嫌な予感がぬぐい来れていないのを感じると視線を更に横にずらす。
するとそこには、それこそ居てはならない人物がいた。
「はや、来いって!」
なんと、周りの痛い視線に耐えきれなくなった橋下が腕を大きく降りながら俺たちを促していたのだ。
俺はその光景を見て目を丸くさせる。
ハ行は無理だろう。
ハ行はどう考えたって無理だろう。
何?何なの?チート?
俺は、橋下の読み仮名は実は“きょうもと”なのではないのだろうかと無駄に思考を働かせようとした所でやっとクラスの痛い視線に気づき、予想外なメンツのいるテーブルへと移動した。
「何で、お前らが同じ班なんだ?」
俺たちが席に座った所で先生が説明に移ったのを見計らうと、俺は橋下に顔を近づけて小さな声で尋ねた。
「お前、なんにも聞いてなかったのか?」
「はて?なんのことやら」
橋下がいつの話をしているのか分からない俺はチンプンカンプンな顔をさせる。
「あのなぁ…
いや…まぁ、知らない方がいいこともあるのかな…」
ツッコミ体制に入った橋下が何かに気付き、回答を躊躇した。
「ちょっ、何だよ!
めっちゃ気になるじゃんかよ!」
いや、でも大体は自分でも理解が出来ている節がある。
というより、察しだ。
このクラスで俺という存在がどのように扱われているのか、それがこの班分けに影響されているのだろう。
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