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「そんなに聞きたいか?」
橋下が引きつった顔で見つめてくる。
「あぁ、聞かせてくれ。
俺は知らなくてはならないんだ」
橋下の口を割らせるために適当な事を言って見つめ返した。
大体は想像がついている答えだが、もしかしたらという考えもある。
俺はそこに無駄な期待を胸に秘め、橋下に詰め寄った。
「後悔すんなよ?」
やっと言う気になった橋下が確認をとると、俺は頷く。
さぁ、答え合わせの時間だ。
橋下はチラッと先生の方を向くと、こちらに気付いていない事を確認して俺に顔を近付かせた。
「実はな。
お前らがここに来る前に突然、班替えすることに決まったんだよ。」
俺は相槌を打って会話に聞き入る。
「班は自分たちで決めていいとの事だったんだ。ただし四人一組で。」
「適当なあの先生が考えそうな事だ。」
話を聞いていた糸賀が横から口を割って入ってきた。
まぁ、これには糸賀も関係のある話だろうから聞いていた方がいいのかもな。
俺は糸賀のコメントに何も言う事はせずに橋下に視線を戻す。
それを確認した橋下は話を先に進めた。
「それで結果的に四人一組で綺麗に別れる事に成功したんだよ。」
一見して聞くと、スッキリしたような話だ。
何の隔たりもない清々しさすら残る結果。
そんな結果だったのだが。
肝心な事を忘れてはいけない。
そこに俺と糸賀は含まれてはいないのだから。
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