日常会話集①

3/5
前へ
/15ページ
次へ
その場所について、のび太は不安そうな表情で何かを言おうとしている。 「何だ?もしかして行きたくなくなったのか?」 のび太が言いた辛そうにしているのを見て、勝手に推測して尋ねたが、どうやら違ったらしい。 のび太は首を横に振って答えた。 「違うよ。森内荘って結構有名じゃない?」 「あぁ、そうだな。」 「だから、あんまり…その、森内荘とかって口外しない方がいいんじゃないかって…」 やっとのび太の言いたい事が分かった皆は「あぁ~」と言った顔で納得した。 「ようするに、名前を変えて呼ぶってことだろ?例えば、“セクターワン”とかって」 「うん、そうそう。 でも例えは違うかな。」 俺の力作にのび太がダメだしをする中、もうシンキングタイムに入ってる橋下と珠季は頭を捻らせていた。 「なら、“呪われた館”とかってどうよ?」 「どこのホラー映画だよ。 語呂悪すぎんだろ。呼び合うんだから、もっとこう、かっちょいくて言いやすいのがいいんじゃないか?」 珠季の案は俺の独断により却下し、次は「あっ!」と声を出して閃いた様子の橋下に目を向けた。 「“呪い荘”は?」 「確かに呪いそうなとこだけどやっぱ語呂がな。」 良い線はいっているとは思うが、これもピンとはこなかった。 「なんだよ、だったらお前が何か考えてみろよ」 うっ…来るとは思っていたぜその言葉。 俺は腕を組んでこの右脳を目一杯に働かせた。 そして閃き、手の平に拳を当てる。 「“終末”ってどうよ?」 「週末?…別に空いてるけど?」 「いや、そうじゃねぇよ!」 惚けた回答をする珠季に俺はすかさずツッこんだ。 「何?」 「だから名前だよ!名前!森内荘の!」 「いや分かりにくっ!」 今度は逆にこちらが珠季にツッコまれてしまい、俺は対応に困った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加