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その場所について、のび太は不安そうな表情で何かを言おうとしている。
「何だ?もしかして行きたくなくなったのか?」
のび太が言いた辛そうにしているのを見て、勝手に推測して尋ねたが、どうやら違ったらしい。
のび太は首を横に振って答えた。
「違うよ。森内荘って結構有名じゃない?」
「あぁ、そうだな。」
「だから、あんまり…その、森内荘とかって口外しない方がいいんじゃないかって…」
やっとのび太の言いたい事が分かった皆は「あぁ~」と言った顔で納得した。
「ようするに、名前を変えて呼ぶってことだろ?例えば、“セクターワン”とかって」
「うん、そうそう。
でも例えは違うかな。」
俺の力作にのび太がダメだしをする中、もうシンキングタイムに入ってる橋下と珠季は頭を捻らせていた。
「なら、“呪われた館”とかってどうよ?」
「どこのホラー映画だよ。
語呂悪すぎんだろ。呼び合うんだから、もっとこう、かっちょいくて言いやすいのがいいんじゃないか?」
珠季の案は俺の独断により却下し、次は「あっ!」と声を出して閃いた様子の橋下に目を向けた。
「“呪い荘”は?」
「確かに呪いそうなとこだけどやっぱ語呂がな。」
良い線はいっているとは思うが、これもピンとはこなかった。
「なんだよ、だったらお前が何か考えてみろよ」
うっ…来るとは思っていたぜその言葉。
俺は腕を組んでこの右脳を目一杯に働かせた。
そして閃き、手の平に拳を当てる。
「“終末”ってどうよ?」
「週末?…別に空いてるけど?」
「いや、そうじゃねぇよ!」
惚けた回答をする珠季に俺はすかさずツッこんだ。
「何?」
「だから名前だよ!名前!森内荘の!」
「いや分かりにくっ!」
今度は逆にこちらが珠季にツッコまれてしまい、俺は対応に困った。
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