おいでよ!

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大木が並び一杯に広げた枝。 その葉の隙間から溢れる光に照らされた花を摘む少女がいた。 「……ふぅ。 もう、これぐらいでいいかな」 籠の中に一杯に摘んだ花を見た。 少女は艶やかな黒髪を首の後ろで結び1つに結っている。 背中に真っ直ぐな髪が流れる。 細く白い指を伸ばし籠に蓋をするとそのまま地面に横になった。 黒のキュロットから伸びる灰色のオーバーニに包まれたほっそりとした足を投げ出す。 花に包まれ、しばらくぼんやりしていた。 (任務の後に薬草摘みなんて急だったな……。 ま、明日休みだしいいか……) うとうと眠くなり意識が消える寸前、視線を感じた。 急いで身を起こし辺りをみるが何もない。 「……気のせいかな」 籠を持つと、地面を蹴りその場から離れた。 大木の一本から人が浮かぶ。 「可愛い娘だったね」 「存在ニ気ガツクトハナ……。 中々、鋭イヤツダ」 ゼツが如月が去った方向を見て呟いた。 「細くて小さくて可愛い……。 小南の言った通りだね。 早く暁に来ないかな?」 「焦ルナ。 小南ガ何トカスルダロ……。 ソレヨリ戻ルゾ」 その言葉を最後に木の中に沈む様に消えた。
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