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「あのさ、せめてカーテン閉めよ。ここは三階だから外からは見えないだろうけど、窓に自分が映ってるから落ち着かないんだよねwww」
「んなもん見ときゃいいじゃねぇか。」
「はぁ!? えっ、なに、そういうプレイ? ちょっ……!」
いやらしい手つきで服の中をまさぐられて肩が跳ねると同時に、情けない顔をした自分と目が合った。
「い、やだ!」
今されている事と自分の反応が視覚的に確認出来てしまうから、普段の倍は恥ずかしくて目を逸らしたけど、軽くSっけのある友人がそんな事許してくれる筈がない。
「ちゃんと見ろよ。」
「おまっ、こういう時だけグイグイと……!」
顎を掴まれて強制的に窓に反射している俺の姿を見せ付けられる。なんとか首を横に向けようとしても、力の差は歴然でピクリとも動かない。
「さっき、覚悟しろっつったろ。」
耳元で囁かれ甘噛みされると、耳が弱い俺は過剰に反応してしまう。それが随分お気に召したらしくて、ニヤリと笑う友人の顔が窓ガラスに反射して目が合った。
「クッソ……さいあく。」
半分は友人を煽った俺のせい。だけどそもそもの発端は、友人が構ってくれなかったせいだ。それで俺が煽って弄んで反省させて、それでおあいこだったのに、何で俺がお仕置きみたいな事されなきゃなんないんだよ。
「バカ、ともひとッ……ばぁーかっ! ぜったい……覚えてろよ!」
「お前こそよーく覚えとけよ、俺とシてるときいつもこんな顔してんだってこと。」
友人の口や手で弄ばれて体が火照る。窓に映る俺は、にじむ汗が髪を濡らして顔にはり付いてて、切なげに瞳を濡らして呼吸を荒くしている。
恥ずかしすぎて死にそうだ。自分の“こういう顔”は見るに堪えない。
「……るさい、このッ、ドS! きらい、大ッ嫌いだっ……バカ!」
「へいへい、俺は好きだけどな。」
「……っ! み、み! 耳やめろってェ!」
追い討ちをかけるように耳を攻められて、とうとう涙が溢れた。
そのまま友人のいいように事が進む中、俺は固く誓った。――これが終わったら絶対やり返してやる――と。
けれど最終的には、そんな悪巧みすら出来なくなるくらい苛められ抱き潰されたわけで。空が明るくなる頃には、友人をどうにかしてやろうなんて発想は消え、ものの見事に懐柔されてしまった。
友人には腹立つけど、この日を境に少し優しくなったから良しとする。
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