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 空港でマネージャーが手配したタクシーに乗り込む。その時、ギターのパイモンがはっとして辺りを見渡す。 「おい、マルファスはどこにいった?」 「はぁ?ったく、あの野郎はまた・・・。」  そう言って眉間に皺を寄せて、心底嫌そうなため息をつくのはドラム担当で、バンドのリーダーでもあるベレト。 「・・・・・。」  何も言わず、動じず、常に本を読んでいるのはベースのアミー。  ベレトはむっとした表情で言う。 「いつからいねーんだよアイツ。」 「とりあえず俺探してくる。」  パイモンは車から降りて、来た道を引き返す。マネジャーの篠原も慌てた様にパイモンの後を追う。  ベレトはため息をついて座席のリクライニングを思いっきり倒し、手を額に当てた。アミーはやはり本を読み続けていた。
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