王子様

5/13
前へ
/41ページ
次へ
私が『王子様』と呼ばれるようになったのは、高校一年生の寒い冬の日の出来事からだった…。 部活が終わり、マフラーをグルグル巻きにして、校門をでたとき、ふと、倒れこんでいる女の子を見つけた。 「ねぇ!?大丈夫?!」 体を揺らしても、起きる様子は無い。 倒れている女の子は、体がボロボロで、服も所々破かれていた。 とっさに、自分の着ていたコートと、マフラーを女の子に巻き付けた。 顔を見ると、気を失っているようだ。 微かに、息をしている。 でも、このままここにおいていけない。 どうしよう…。 迷った末、私の取った行動は、荷物をそこにおき、女の子を担いで保健室につれていった。 この時、運ぶのに夢中で気づかなかったが、女の子をお姫様抱っこで運んでいる姿が、王子様に見えたらしく、私のあだ名が『王子様』になったという。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加