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私が『王子様』と呼ばれるようになったのは、高校一年生の寒い冬の日の出来事からだった…。
部活が終わり、マフラーをグルグル巻きにして、校門をでたとき、ふと、倒れこんでいる女の子を見つけた。
「ねぇ!?大丈夫?!」
体を揺らしても、起きる様子は無い。
倒れている女の子は、体がボロボロで、服も所々破かれていた。
とっさに、自分の着ていたコートと、マフラーを女の子に巻き付けた。
顔を見ると、気を失っているようだ。
微かに、息をしている。
でも、このままここにおいていけない。
どうしよう…。
迷った末、私の取った行動は、荷物をそこにおき、女の子を担いで保健室につれていった。
この時、運ぶのに夢中で気づかなかったが、女の子をお姫様抱っこで運んでいる姿が、王子様に見えたらしく、私のあだ名が『王子様』になったという。
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