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「私だって、好きで呼ばれてるわけじゃない」
「え?美里?」
ハッと、入江の声で昔の記憶から戻り、ゆっくりボタンを閉めた。
お昼になり、外のベンチに移動する。
私には、友達がいない。
だから、人通りの少ない、このベンチを使っている。
最初は、自分から『ご飯、一緒に食べない?』と、聞いていたが、答えはいつも一緒だった。
『王子様と食べるなんて、あたしなんかじゃ勿体ないです!!』と。
私は、一緒にご飯が食べれれば良かったのだ。
ただ、孤独感を感じるのが嫌だった。
それだけなのに…。
『王子様』というあだ名のせいで、学校を歩けば、『写真撮ってください!!』。
ついには、告白までされてしまった…。
いつしか私は、男子よりも人気があり、友達が出来なくなった。
そして、人と会うのを避けるようになった。
学校の中で唯一、1人になれる場所。
それが、このベンチだった。
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