夢見る少女と久遠回廊

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どうも私です。 今、夏でもないのに炎天下の中を徒歩で移動中です。 白い肌に太陽の照り返しが当たり、これでもかというくらいに体力を奪っていきます。 強いていうなら眼前に広がる味気ない田園風景のなんとも恨めしいことか。 さっさと雨でも降ればいいのに。 「まあ、そう悲観せずに楽しめば良いだろう? もっとも外へ出るのは久しぶりなのか?」 フォローのつもりかアマテラスの声がしました。 もっとも、本体は家でくつろいでいるというわけですが。 「あのですねぇ、茶化すなら出てきて、一緒に歩けばよかったでしょうに。 アナタ、神だからって人使い荒くないですか?」 そう言うと私は首から掲げた勾玉のネックレスに愚痴を言います。 すると不思議な事に勾玉から声が返ってくるのです。 「それが巫女たるものの役割であろう、そのためにも妾の三種の神器の1つ――陽を繋ぐ霊神玉――勾玉を授けたのだからな」 「でも、その割には陳腐な機能しか備わってないですけどね」 「あーあ、妾のことバカにしたなー! そもそも、妾の力が不十分なのも美咲の魔力が低いせいなのに……!」 この首の勾玉は、ご存知世に伝わる三種の神器の一種。 アマテラスが私に授けた宝具の一つです。 ――陽を繋ぐ霊神玉―― これが正式名称らしいのですが、アマテラス曰く「“今“は訳あって、トランシーバーの役割しか使えない」ということらしいのです。 なんだそりゃ。
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