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つまり勾玉は、私に外へ向かわせるに当たってのGPSみたいなものです。
「なんなんですか、もうっ! 今頃は家であんな事やこんな事を楽しんでいたはずですのに……」
「して、美咲が家でしようとしていたのは、この機器か?」
再びゴソゴソとした物音と共に聞こえてきたのはあろう事かPCの起動音。
名誉毀損です。
「わっわ、やめてくださいーっ!! 純情乙女の私物物色だなんてどんな神経してやがるんですかっ!!」
羞恥にかられ、私の悲痛な叫びが響き渡ります。
「まあ、いいであろう。本人が目の前にいないのだからな」
「ちっとも良くありませんよ!! その、陰口ならオッケーみたいな認識何ですか!?」
盛り上がるアマテラスとの応酬、そんな折でした。
私の目の前を、五歳くらいの男の子がかけて行きました。
「…………」
――時代錯誤のボロボロの白装束姿。おまけに草鞋は片方だけ。
私に目もくれず走っていくソレは、ともすれば、誰かに追いかけられているのかという印象を与えるかのようなものでした。
「……どうかしたのか?」
不自然な会話の途切れにアマテラスは訝しみます。
「いえいえ……何も……」
無かった。とでもいえばよかったのでしょうか。
確かに男の子の風貌はただの人間の様には思えませんでしたし……。
――精霊――
そんな言葉が頭をよぎりました。
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