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しかし、オバ〇ンの声と共に、詮索はそこで途切れました。
「そこでなにしてるのっ!早くこっちに来るのよ!」
相変わらずの理不尽さに呆れつつ、足を早めます。
どうやら彼女の言う畑とやらに着いたようでした……と、ここまでは良かったのですが、その畑をみた瞬間、私は言葉を失いました。
――ステンレス鋼で覆われた灰色ボディ。
ゴキブリを思わせるような悪趣味な6つ足の作りに、背中に付いた無数のパイプ。
パイプといっても形も色も色々で大小なんでもござれ。
背中から垂れたコードは最寄りの電圧機へと繋がれ、ギシギシと虫の蠢くような音を出しながら動く謎の物体。
そんなものが畑の中央を我が物顔で闊歩していたのですから。
「何ですか、この気持ち悪い物は……。
絶対に今日の夢に出てきてしまうじゃないですか」
明らかな侮蔑を込めて見守る私に、依頼者のオバサン(もう、一文字隠さなくても大方察しているでしょう?)は、得意気な声で言います。
「どう? この自動農耕機――アブソリュートアグリカルティックウインズ――は!?」
はい?何ですか? 滑舌の悪さも相まってよく聞き取れません。
取り敢えず私はそのキモチワルイ物に“G“という名前を与えました。
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