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「もしもし、アマテラスさん。今の話聞いていましたか?」
「ん……? ああ。勿論だとも! 妾を誰と存じておるのだ!?
10人の質問にも正確に応えることが出来る、聖徳太子であるのだぞ!!」
「…………神さま、私はこういう時、どういう反応をすれば良いのでしょうか?」
何だか即答されると、逆に心もとない感じがします。
あと、ギャグも。
「ふむ、飛鳥時代には案外うけたネタなのだが…………。
やはり千三百年前の感性は現代に受け入れられないものなのか」
「あの……、聞いています?」
不安げに問う私。
自分の世界に閉じこもってしまうのは、この方の習性なのでしょうか?
「一応は聞いているぞ、要は畑に植えた覚えの無いジンジャーが増えているからなんとかして欲しいという事であろう?」
「はい、その通りです……大方はね」
「ならば妾に任せろ! 似たような件を扱った事がある、直ぐに解決出来るぞ!」
返ってきたのは頼もしい返答でした。
ということで私は営業スマイルを保ちつつ依頼者に成約の意を伝えます。
「安心して下さい、直ぐに解決するようです」
「……ようです? 何だか誰かに頼んでいるような言い草ね」
「……で、ですからっ、まあ、安心して下さいってことですよ!!」
「ふーん、解決してくれるならどっちでもいいけど」
ちっ、鋭い女め。
しかし帰ろうと思いたった矢先に目に飛び込んだモノがありました。
そう、あのジンジャーの山です。
彼女によれば処分してしまうという話なのですが、どうにも勿体無い気がするので持ち帰りを試みました。
「あとこのジンジャー、もって帰ってもよろしいのでしょうか?」
「別にいいけどそれは…………いや、何でもない」
「?」
何かを含んだ様な言葉に私は訝しみました。
しかし、私は他人のプライバシーを損害するような非常識は持ち合わせていないつもりですので、今日はジンジャーを手土産に家に帰ることにしました。
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