夢見る少女と久遠回廊

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仕事から帰った私を待っていたのは、なかなか理解し難く驚きの光景でした。 「な、なんですか!? この部屋!!」 見れば先程アマテラスが布団を持ち込んだ部屋の床では菓子類は散乱し、挙句の果てにどこから持ってきたのかPCが置かれていました。 「美咲、ようやく帰ってきたか。 ところで……どうだ、このPCはっ!! 美咲のモノを見ていると妾もPCというものを持ちたくなってな」 アマテラスは私の顔を見るや嬉しそうな表情で話しかけました。 しかし、私には一つの疑問が浮かびます。ええ、そうです。 「ところで……、そのPCはどちらから持ってきたのでしょうか?」 一つの疑問というのはそのPCの出処です。 見たところ私のPCとは種類も違うようですし、家にも無かった筈ですのに。 「作ったのだ」 「えっ……もう一度よろしいですか!?」 聞き違いでしょうか? 確かに彼女はこのPCを作った物だと言いやがりましたが。 「正確には“創った“のだ。 神さまの特権とでもいうのかな――欲しい物のイメージと役割、手触り、味、その他もろもろ(ex を理解すれば、その物質自体を創りだす事が出来るのだぞ……こんなふうに」 “百聞は一見に如かず“を実践するかのように、アマテラスは手を逆さに下ろしました。 すると手の内から呆然とした輪郭が浮かび上がり、次第に凝縮。 みるみるうちに実体を伴い、最後には完全なポッキーの箱が姿を現しました。 「凄いです!! 実を言うと私、最近アナタが本当に神さまなのか疑ってたところなんです」 「美咲、そういう事は胸の内にしまってくれれば嬉しかったのだが……」 創り出したポッキーを法張りながらアマテラスは言います。 それにしても“物質の創造“だなんて予想外の能力でした。 例えばお菓子の他にお金なども量産出来るのでしょうか? そうなれば無敵二ートの完成です。
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