夢見る少女と久遠回廊

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そんな矢先です。神社のインターホンは新たな来客を告げました。 時代がかった廊下の先まで場違いな程に軽い電子音が響き渡ります。 「美咲?この音は何だ?」 訝しむアマテラスと代わって私は冷静に告げます。 「招かれざる客、クレーマーですよ。 そもそも最近の神社って“お祓い“的要因よりも“相談所“的意味合いが強くなってますからね」 そうなのです、最近は勘違いなさった“お客様“が占い師に尋ねてくるかのような気軽さでこの神社に相談する件が増え、それが悩みの種なのです。 いつもは父が相談に出るのですが、今は父が出張で居ないのですから、ここは帰ってもらうしかないのです。 「ふーん、して美咲はどうするのだ?」 アマテラスは一通り説明を聞いたあと、不敵な笑みを浮かべ問いました。 「あのー、私の話聞いてました?」 「まぁ、落ち着け。昔より巫女というのはよく神託を聴き、諸人に為政を施す為にある存在だ。 しからば無下にせず、その相談受ければ良いのであろう?」 「あのですねー、“触らぬ神に祟りなし“って諺があってですね……」 「妾は神だが、何か……?」 「…………」 何だか理不尽を感じつつも言い返せない私に代わって応えたのは、外から漏れる荒々しい怒声でした。
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